2021年7月号

氷川省吾

ハエ

部屋で起こる問題は、自分の体が原因の時もある。
ナタリー爆川 満244歳

不酔の細道

天野満 大通りを行く。 華やかな商店の明かりや、せわしなく行きかう車のヘッドライトに照らされて、夜の通りはまるで昼間のように明るかった。 俺はどこに行くのだっけ。わからない。ただ、どこかに行かなくてはならないことはわかっている。だからこうし...
福原大輝

二人、夜行

福原大輝 見渡す限りの荒野と夜空が青く広がっている。目の前には線路がずっと続いていて、そのレールの鋼鉄は真鍮色に淡く光って僕達の進む道を照らしていた。 太陽はとっくに過ぎ去って、空には帯状に星々が見えた。目前の線路と画が重なって、その星々の...
マサユキ・マサオ

朱と印

マサユキ・マサオ 目覚めると、私は大層立派な箱の中に居た。何故箱だと思ったのかというと、その部屋がほぼ立方体の形をしており窓が一つも無かったからだ。代わりにドアが一つと、充実した本棚、薄型テレビが備え付けられていた。壁にはゴッホだとかモネだ...