2021年1月号

天川

蝋燭

天川蝋燭 かつていた町の姿はさほど変わらず、クリスマスを過ぎたケーキ屋さんの前に立っていただろうサンタクロース人形の姿はとうに消えている。その姿を最後に見たのは、もうずっと前の記憶になる。 年の瀬が近づき、肌寒い空気の中を歩く。最後にサチを...
ナタリー爆川 満244歳

真の動機、心の旅

天野満「なんで俺、書き物やってんだろ?」 新年早々、執筆に行き詰っていたら、大変重要なことに気が付いてしまった。 自分が書き物をする理由が全く思い浮かばないのである。正確には、理由があるような気がするのだが、上手く説明出来ないのであった。 ...
山中隆司

牧場の朝

ニワトリが鳴き声と共に牧場の朝は始まる。  隣では仲間のカイ号がまだ眠っている。  のどの渇きを潤すために水道に向かうと友人のミマサカ号がいた。ミマサカ号が私に気が付いたらしく声をかけてきた。彼とは同年代だが私と異なり小柄な体格をしている。
マサユキ・マサオ

水晶の眼球

マサユキ・マサオ 村田が眼球を意識し始めたのはいつだったか、はっきりと覚えてはいない。少なくとも中学生頃まで、人の目を見て話すことがどうしても出来なかった。部活の顧問からは、話をしている人の目をちゃんと見ろ、とよく注意された。そう言われても...
平田ヘイデン

デトリタスの雪

抜粋