木乃セイ

木乃セイ

かつて世界を滅ぼした魔法使いのごくありふれた日常

木乃セイ穏やかな朝だった。あまりに穏やかなので、まるで時が止まってしまったのかと思われるほどだった。男はゆっくりと目を覚まし、そして、まだそこに世界が続いていることを知った。柔らかい朝日がカーテン越しに部屋へ射し込んでいた。男は身支度をして...
木乃セイ

里帰り

木乃セイ燃えている。煌々と。煌々と。煌々と。ーー燃えている。 それは、飛行機の窓から見た光景だった。山が燃えている、と、思った。あれが母のよく言っていた、紅葉というものだとは、しばし理解ができないほどだった。 木の葉が赤く染まるのだと、よく...