天野日記 その弐

天野満

繰り返し見る夢

 同じ夢を何度も見ている。不思議なことに同じ夢を何度も見ていると、夢の中で「これは夢だ」と気づいてしまうのだ。
 どのような夢であったかというと、私がテレビ番組に出演する夢である。
 司会進行を務めるのは、かのダウンタウンである。ゲストにタレントのマリエ、解散したはずのお笑い芸人コンビのザブングル、女優の沢尻エリカ、他多数。人選の基準が良くわからないのである。
 人選のみならず、番組の趣旨もよくわからないのであった。
 ある時はレストラン、ある時はバー、他にもゲームセンター、山奥の工事現場、商店街といった具合に色々な場所を巡るのだが、珍妙な効果音が流れるやいなや、ゲストが次々に、唐突に脱落していくのである。
 脱落には何かしらのルールがあるようなのだが、そのルールがわからず、ゲストたちも突然脱落させられて混乱していた。中には脱落が決まるや、ポロポロと涙を流す者もいる有様であった。
 私といえば、ゲストたちが次の物件へ移動する間に、せせこましい本屋に立ち寄ったり、コンビニでタバコを吸ったりして、ろくすっぽ撮影に参加していないにも関わらず、一切脱落しないのであった。しかも、途中で得点システムが存在することに気がつくのだけれど、なぜか私は高得点を獲得していたのである。
 ちなみに得点の一位は「弁天」という名の凄まじいオーラを放つ、美輪明宏のごとき風貌の芸能人であった。が、その弁天も唐突に脱落したりするのでびっくりしてしまう。
 結局、何の脈絡もなく目が覚めてしまい、番組の行方は不明のままである。
 なぜかこの夢を見たあとは目覚めがスッキリしているのだが、一日中「俺は夢の中でまだ脱落していないのだろうか」ということが気になって、仕事も手につかないのには困ったものである。

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