歌集　2020年８月

山本織

愛されるために生まれたはずだろう
　　やわらかな棘を　持ったサボテン

　ホームセンターへ行くと、つい観葉植物のコーナーを覗いてしまう。グリーンの持つ癒やし効果は絶
大だ。自室でいくつか植物を育てているが、霧吹きで水をやるとつやつやと輝く葉は美しく、小さな芽
は実に愛らしい。ただ、日当たりや温度、湿度など、気をつけなければならないことがたくさんあり、
ずぼらな私にとっては、育てるのがなかなか難しくもある。
　それまで生き生きとしていたのに、何が原因かも分からないまま突然枯れてしまうこともある。育て
ている植物の中だと、最近コーヒーの木が、この冬の寒さにやられたのか禿げ散らかしてしまった。背
丈は五十センチほどまで伸びたのだが、葉がボロボロと落ちてしまい、現在はてっぺんの二枚しか残っ
ていない（ので、「海平」と呼んでいる）。しかし、幹はまだ枯れておらず、新芽も出てきているので、春、暖かくなったころ、また元気になることを願っている。