福原大輝 家族の大切な熟女 福原大輝身体を起こすのが億劫なこともあるし、ずっと寝ていたい。わたし、もうそこそこの歳なのかも。熟女ってテレビで言ってた気がする。わたしがけだるげに身体を起こすと、ママが顔をのぞき込んできた。眉根を寄せて心配そう。今日はわたし、散髪に行った... 2022.10.04 福原大輝
福原大輝 才能の華を咲かせるために 福原大輝足元から風を感じた。それでも雄一は気にすることなく、目の前のプリントに集中して採点を続けた。だが、ふふんという笑い声にはさすがに声をかけた。「才華ちゃんっ」その声にビクッと身体を震わせるが、やがてうふふと彼女は笑った。小学一年生の才... 2022.10.04 福原大輝
kenken 宿無し kenken第一章 土色の明日1承応二年(西暦一六五三年)の話である。二十二歳になる味噌職人の彦八は、走っていた。通り過ぎる風が、目に染みる。目に涙が浮かぶ。心ノ臓が早鐘を打った。森林に囲まれた、人一人が歩けるだけの細い道を、躍起になって走... 2022.10.04 kenken
ナタリー爆川 満244歳 ナタリー・ダイアリー vol.1 天野満ナタリー爆川(満244歳)○改名さらば、天野満よ。今までありがとう。唐突ではあるが、ペンネームを変更することにした。バンドを始めた際に、ステージネームを使ったりする人がいるが、私も例にもれない。私は本名をもじり、244と名乗っていたが... 2022.10.04 ナタリー爆川 満244歳
原田 短編集 原田母窓の外は雪混じりの雨足だった。少し遠くに聞こえる車の往来はまだ幼かった頃の我が家の前の道を彷彿とさせた。そこには大きな木が何本も生え、大きな窓のむこうにカーテンとなって存在していた。それはもうない。津波で塩害の犠牲となった木々の多くは... 2022.10.04 原田
氷川省吾 屍病 機密の研究所にスカウトされて就職した榊。そこで課された仕事は、とある病原体の解析だった。この病原体は他に類を見ない性質を持ち、万が一漏出すれば、研究所ごと抹消する処置がとられる。研究を進歩させて仮眠を取った榊が目を覚ますと……。 2022.10.04 氷川省吾
ナタリー爆川 満244歳 天野日記 その弐 天野満繰り返し見る夢 同じ夢を何度も見ている。不思議なことに同じ夢を何度も見ていると、夢の中で「これは夢だ」と気づいてしまうのだ。 どのような夢であったかというと、私がテレビ番組に出演する夢である。 司会進行を務めるのは、かのダウンタウンで... 2022.06.30 ナタリー爆川 満244歳
福原大輝 カンニング森 福原大輝「だから、俺はカンニングなんかしてねえんだよ!」 金髪を左半分刈り上げている男が身を乗り出してそう言ってきた。両耳にあいているピアス穴とこの態度を見る限り、犯人のその態度だった。「落ち着いて、その時の状況を聞かせてくれる?」 対して... 2022.06.30 福原大輝
山中隆司 赤い荒野 山中隆司行き先がわからないまま鉄道に乗ってどこかに向かっている。自分以外にもちらほらと見える乗客が手持ち無沙汰に外を眺めたり、飲み物を口にしたりしていた。外には植物一つない荒れ果てた土地が広がっている。明らかにここは日本ではない。 車掌が切... 2022.06.30 山中隆司
ナタリー爆川 満244歳 RUN RUN RUN 天野満 らんらん、と歌いながら少年は走る。 空には雲ひとつなく、平原はどこまでも広がっている。 吹き抜ける風は少しも澱みを抱えておらず、少年のシャツの裾を軽快になびかせていた。「よう、走るのは楽しいか?」 一羽のカラスが少年に話しかけた。少... 2022.06.30 ナタリー爆川 満244歳