福原大輝

花は無口なままで

福原大輝花は無口なままで 福原大輝 ピアノの伴奏が流れ始めて、聞いたことのあるメロディが何の引っかかりもなく右耳から左耳へと抜けていく。高辻修介はさぼっていると思われぬように、周りに合わせて口を開いた。この曲が「あおげばとうとし」なのは知っ...
ほろほろほろろ

はじけて♪ ボムっ娘アカリちゃん!

ほろほろほろろ 皆さん初めまして! わたしの名前は赤星アカリ。元気印な女の子! 今日はね、なんと中学校の入学式なの! わたし、今日からピカピカ中学一年生になるんだ! 新しい通学路。新しい校舎。新しい環境。たくさんの『初めて』が満ち溢れていて...
平田ヘイデン

コンパニオンバード

平田 ヘイデン 小鳥のヒナ飼えない?と友人から電話が来た。自分が住んでいるアパートはペット応相談なので、確認してから連絡するわ、と返した。 管理会社の営業時間を待ってから問い合わせると、小鳥は飼ってよいとの回答を貰うことができた。独り身も長...
ナタリー爆川 満244歳

不酔の細道

天野満 大通りを行く。 華やかな商店の明かりや、せわしなく行きかう車のヘッドライトに照らされて、夜の通りはまるで昼間のように明るかった。 俺はどこに行くのだっけ。わからない。ただ、どこかに行かなくてはならないことはわかっている。だからこうし...
福原大輝

二人、夜行

福原大輝 見渡す限りの荒野と夜空が青く広がっている。目の前には線路がずっと続いていて、そのレールの鋼鉄は真鍮色に淡く光って僕達の進む道を照らしていた。 太陽はとっくに過ぎ去って、空には帯状に星々が見えた。目前の線路と画が重なって、その星々の...
マサユキ・マサオ

朱と印

マサユキ・マサオ 目覚めると、私は大層立派な箱の中に居た。何故箱だと思ったのかというと、その部屋がほぼ立方体の形をしており窓が一つも無かったからだ。代わりにドアが一つと、充実した本棚、薄型テレビが備え付けられていた。壁にはゴッホだとかモネだ...
ナタリー爆川 満244歳

真の動機、心の旅

天野満「なんで俺、書き物やってんだろ?」 新年早々、執筆に行き詰っていたら、大変重要なことに気が付いてしまった。 自分が書き物をする理由が全く思い浮かばないのである。正確には、理由があるような気がするのだが、上手く説明出来ないのであった。 ...
山中隆司

牧場の朝

ニワトリが鳴き声と共に牧場の朝は始まる。  隣では仲間のカイ号がまだ眠っている。  のどの渇きを潤すために水道に向かうと友人のミマサカ号がいた。ミマサカ号が私に気が付いたらしく声をかけてきた。彼とは同年代だが私と異なり小柄な体格をしている。
マサユキ・マサオ

水晶の眼球

マサユキ・マサオ 村田が眼球を意識し始めたのはいつだったか、はっきりと覚えてはいない。少なくとも中学生頃まで、人の目を見て話すことがどうしても出来なかった。部活の顧問からは、話をしている人の目をちゃんと見ろ、とよく注意された。そう言われても...
平田ヘイデン

デトリタスの雪

抜粋