マサユキ・マサオ チョコパイを作るために生まれてきた男 マサユキ・マサオ男はチョコパイを作るために生まれてきた。誰に教えてもらうでもなく、物心ついた頃からチョコパイを作っていた。どんなお菓子メーカーやパティシエの作るものよりも美味しくチョコパイを作ることができた。誰もが男からチョコパイの作り方を... 2023.03.22 マサユキ・マサオ
マサユキ・マサオ スイカを焼く話 マサユキ・マサオ私が十二歳になったある夏、父は仕事を辞めた。父は言った。「明日から、焼きスイカを売ることにしたんだ」「そうなのよ、まきもお父さんの仕事を応援してあげなさい」母が言った。それから数日後、母もパートを辞め、父と共に焼きスイカを売... 2023.03.22 マサユキ・マサオ
ほろほろほろろ 『スイーツショップ “ルクアージュ ”へようこそ』 ほろほろほろろ1小さくキュートな虹色マカロン、霜を降らせたガトーショコラ、きんと冷たいレモンシャーベット、ツヤが眩しいフルーツドロップ。スイーツは味や見た目、作り方まで実に個性豊かで、二つとして同じものはありません。ですが、その全てに共通し... 2023.03.22 ほろほろほろろ
木乃セイ かつて世界を滅ぼした魔法使いのごくありふれた日常 木乃セイ穏やかな朝だった。あまりに穏やかなので、まるで時が止まってしまったのかと思われるほどだった。男はゆっくりと目を覚まし、そして、まだそこに世界が続いていることを知った。柔らかい朝日がカーテン越しに部屋へ射し込んでいた。男は身支度をして... 2023.03.22 木乃セイ
ナタリー爆川 満244歳 無色のコツ 第一回 ナタリー爆川 満244歳○まえがき「無職は案外難しい」これは私が、無職の身の上になって痛感したことである。人々聞かせれば「何をおかしなことを言ってやがる」とドブネズミの死骸でも見るような目で私を見てくるのだが、仕方ないことである。この難しさ... 2023.03.18 ナタリー爆川 満244歳
福原大輝 六九萬はロックマン! 福原大輝今日タツヤは珍しく早起きして、家を出た。向かう先は雀荘である。いつも通り素人から大金をせしめるわけではない。悪さをするヤクザまがいのやつをやっつけるわけでもなかった。タツヤは麻雀の前では善でもあり悪でもあった。そういうと聞こえがいい... 2023.03.18 福原大輝
小原友紀 華金飯 佐伯友子足掛け五カ月の業務、年度末の波濤を辛くも乗り切った。退勤前に、ほぼ手つかずの有給をみすみす捨てるのも癪で、繰越なしの期限切れ間際に、なけなしの一日を駆け込み取得した。職場を出るなり、携帯の音楽アプリで八〇年代シンセポップを鳴らす。骨... 2023.03.18 小原友紀
マサユキ・マサオ 教育 マサユキ・マサオ私が念願のスマホを手に入れたのは高校入学直後のこと。まずはラインをダウンロードして、幼馴染の隆君に『おちんちん』と送りました。私の初めてのメッセージは正確に送信され、既読マークが付きました。私は呆然とし、そして怒りが込み上げ... 2022.10.04 マサユキ・マサオ
山中隆司 常世の国への旅 山中 隆司今、私は見知らぬ山伏装束の男に掴まって空を飛んでいる。あたりは水の底を思わせるほど仄暗く、星明りを思わせるきらめきが点在している。このまま本当におばあちゃんに会えるのだろうか怪しい。なぜこうして見知らぬ男に掴まっているかというと、... 2022.10.04 山中隆司
モモ 彼岸花 モモいっそ毒々しいほどの鮮やかな赤に目を奪われ、つい足を止めてしまったらしい。先に行ってた友人がわざわざ戻って声を掛けてくる。「おい、春秋どうしたんだよ? お前に花を眺めるだなんてご趣味があったとは思わなかったなあ……」その言葉には揶揄の響... 2022.10.04 モモ